うしろの正面だーあれ



半開きの唇が俺を誘う。



必殺 上目遣い。



沙良の誘惑に負けた俺は、右手で沙良の頬を包み、少し上に向けた。



ゆっくりと目を閉じる沙良。



俺もゆっくりと沙良に近付いていく。



唇が触れる寸前で、俺は動きを止めた。



…いや、止めざるを得なかった。



なぜなら、静まりかえった保健室に、着信を知らせるバイブが鳴り響いたからだ。



…沙良のポケットから。



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