うしろの正面だーあれ
「…そう。
ところで今、何処に居るの?
静かみたいだね。」
嘘は つけない、そう悟った沙良は、自分の居場所を正直に話した。
「保健室…。」
「保健室?具合が悪いの?
だったら早退した方がいいよ。
僕が介抱してあげるから…。」
その言葉に沙良は氷ついた。
殺される…そう思い、言い訳を考えようとするが頭が回らない。
「だいっ…じょうぶだからっ…!テストも近いし…。授業出るから…!」
「…僕の言うことが聞けないの?」
その声は妙に落ち着き払った、冷たい声だった。
その言葉を聞いた瞬間、沙良の思考回路は遮断された。
まるでそれは、電話を切られた音のように、遮断された後は一定の音が頭の中で延々と流れているようだった。
ポスッと捲り上がった布団の上に落ちた携帯を見て、憂は全てを察したのか、沙良を強く抱きしめた。
その顔は、苦痛に満ちた表情だった。