うしろの正面だーあれ
「なぁ、咲子。」
「ん?」
すぐ横を見ると、マフラーを巻いた隆史が、ポケットに両手を突っ込んだまま寝っ転がっていた。
「寒い…。」
「だね。…でも教室じゃ喋れないことなんでしょ?」
屋上に続く扉の前で、階段の1番上に座る咲子が言った。
「…なんだ、分かってたんだ?
咲子のことだから気付いてないかと思ってた。」
起き上がって隆史が言うと、咲子も反論した。
「そんな子どもじゃないよ…。」
その言葉に、隆史は少し寂しそうに笑うと再び寝っ転がった。
「なぁ、例えばさ、あと1週間で二度と会えなくなる2人が居るのな?」
「…何それ。心理テスト?」
「…まぁ、そんな感じ。
で、2人はお互い両思いなんだけど不器用でさ!なかなか告れないわけよ。」
「うん。」
「けど、思いを伝えたとしても、1週間後には二度と会えない。」
「うん…。」
「咲子ならどうする?」