うしろの正面だーあれ



ガラッ・・



授業中、不意に教室の後ろの扉が開いた。



「コラ〜!授業 始まってんぞ。
どこ行ってたんだ?」



「…ごめん先生、こいつ早退。」



そう言って、憂は保健医の記した早退願いのプリントを見せた。



「…大丈夫か?」



明らかに顔色の悪い沙良を心配そうに見つめながら、英語教師は尋ねた。



それに気付いた沙良はコクリと頷く。



「…じゃあ職員室 行って、担任の先生に これ見せて、早退届け貰って帰れ。」



担任の言葉にカクカクと二度頷き、沙良は荷物を取りに自分の机に向かった。



…と、後ろの席の主である咲子が居ないことに気付く。



彼女は真面目で、授業をサボったりはしない性格だ。



しかし、保健室には居なかった。



教室を見渡すと、他にも1つ空席があることに気付いた沙良は、その席の主が誰なのかを思い出そうと試みた。



…が、貧血により、やむなく その思考回路は遮断された。



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