うしろの正面だーあれ
「立てるか?洗いに行こ。」
憂は沙良の腕を掴み、体を支えるようにして立たせた。
「あたし、後始末やっとくわ。」
朝子が言う。
「お、サンキュ。
ティッシュ持ってる奴、誰か貸してやって。結構 要ると思うから。」
「あ、あたし持ってる!」
何人かがティッシュを持ち寄り、片付け始めた。
その様子を申し訳なさそうに見つめながら、沙良は教室を後にした。
トイレの鏡を前にして、沙良の瞳からは涙が溢れ出した。
後から後から流れ出す。
「―――っ…」
洗面台に崩おれながら、沙良は自分を恥じた。
情けない自分を
傷付いた自分を
弱い自分を、沙良は恥じた。