うしろの正面だーあれ



一喜は沙良の眼差しを受け、再びニヤッと不気味に笑う。



「良い瞳だ。
僕を挑発したいのかい?」



一喜の問いには答えず、距離を計る。



…まだだ。



もっと一喜を引き付けてから、ナイフを奪う。



逸る心を抑え、沙良はじっと待ちながら全神経をナイフに集中させた。



ジリジリと近寄る一喜。






…今だっ!



そう思い、沙良はナイフに飛び付いた。



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