うしろの正面だーあれ



看護士の呟いた『でも』が、肯定を一気に否定にするものでないことを、沙良は祈った。



不安そうに自分の顔を覗き込む沙良に気付いた看護士は、少し躊躇っていたが、やがて静かに話し出した。



「この病院に居るわ。
でも、思ったより傷が深くて、今は危険な状態なの。
今は眠ってるけど…。」



それを聞いた沙良は、腕に刺さった点滴を無理矢理 引き抜き、病室を出て行った。



後ろから、看護士の呼び戻す声が聞こえる。



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