うしろの正面だーあれ
どんなに君を想っても
この想い、届かないなら
此処に来た意味は無かったかな。
泣いてる君を抱きしめることも
君の涙を拭うことすら出来ないなんて。
なんて僕は無力なのだろうか。
愛しい君に触れることも
今はもう許されない。
どんな敵からも、もう守れない。
…それなら、沙良。
君は強くならなくちゃ。
涙をいっぱい流して、強くならなくちゃ。
自分一人くらいは守れるように。
『じゃないと俺、逝けねぇかんなっ…。』
「…沙良ちゃん。」
呼ばれて振り返る。
「そろそろ行こうか。」
叔母さんは、切なげに笑った。
「…はい。」
そう言った沙良の瞳からは、もう涙は消えていた。
『アメ、サンキュ。
…頑張れよ、沙良。』
そう言って、憂は沙良にキスを落とした。
ポツ・・
「あ…雨…。」
沙良は、雨の降る空を見上げた。