【短編】君の声も
あるときみっちゃんは言った。

東京で音楽をしたい、と。

あたしは田舎で育った田舎者が東京で音楽をしていくのは無理だと思った。

それに、何より寂しかった。
一人にはなりたくなかった。

みっちゃんを失いたくなかった。

でも、そんなこと言えなくて そう、とだけ答えた。


そしたらみっちゃんは、唄を歌ってくれた。

あなたの為に作った曲だ、と言った。


初めてまともにみっちゃんの歌声を聴いた。

心が震えた。

あまりに透明で、さみしかった。涙がでた。

みっちゃんと離れることでの涙じゃなくて、もっと人間的な涙だと思った。
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