「その彼女、今はもう結婚して子供もいるんだ」



松崎はゴクゴクっとビールを飲んで続けた。



「今では良き友人―――かな」



理穂は黙ってそれを聞いていた。



―――恋って、みんなが幸せになるわけじゃないのよね。



笑っている人の陰で、誰かが泣いている・・・。



「遠藤さん?」



いつの間にかうつむいていた理穂の顔を、松崎が心配そうに覗き込んでいた。



「大丈夫?気分悪くなった?」



理穂は慌てて首を振った。



「ちょっと考え事してました。ごめんなさい」




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