「遠藤さん、俺まで来ちゃってごめんね」



松崎は持っていたビールケースを置くと、申し訳なさそうに頭をかいた。



「だって、瓶ビール1ケース買っちゃったんだもん。か弱いあたしじゃ運べないでしょ?」



南の言い訳に、理穂はため息をついた。



「わざわざ瓶ビール買わなくてもいいでしょ?」



「何言ってんの。ビールといえば瓶でしょ」



「・・・」



「ほらほら、こんなとこで話すのもなんだし中に入れてよ」



南はそう言うと、理穂の返事も聞かずにさっさとあがってしまった。



───ま、今更何を言っても遅いか。



理穂は諦めると、



「汚い部屋ですけど、どうぞ」


と、松崎を促した。




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