「・・・好きな人はいたんだけどね」



実らなかった恋を思い出し、理穂は小さく笑った。



「―――引きずってるの?」



「・・・ほんの少し」



早く忘れたい。



顔も


名前も


一緒に過ごした日々も・・・



「理穂。想いを断ち切るには新しい恋よ!」



南のあまりに大きな声に、理穂は慌てて口を塞いだ。


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