リアル人狼ゲーム【アカスかカクスか】

第3ゲーム【気づかなかった手段】

ゲームが終わる。
淡々と夜を過ごして、また朝が来る。
のこり18人。
まさかこの短期間で7人もクラスメイトが死ぬなんて誰が予想したのだろう。
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「起ーきーろ」
美奈の声。
ああ、またか。
明日が来る=今日もクラスメイトが1人は死ぬ。
やがて朝食が配られる。
特に何の豪華さもないパンとサラダとコーンスープが毎日出てくる。
パンはこれでもかというほど冷めていたのに、コーンスープはあっつあつで、私の舌を何かと攻撃してくる。
教室はしーんとしてる。
もうみんな精神の限界がき始めているだろう。
美奈とさえ話す気力もない。
ガタン。
なんの音?
すると目の前を瑠樹ちゃんが横切った。
瑠樹ちゃんはそのまま窓の方へ走ってゆく。
「瑠樹!」
バリーンとガラスの割れる音がした。
いち早く下を見たのは葵ちゃんだった。
しかしそのあとドォンという音がし、瑠樹ちゃんは亡くなった。
どうして。
どうしてみんな、こんな簡単に、
消えていくの。
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朝ごはんを食べ終えると葵ちゃんは瑠樹ちゃんの机の中をみていた。
何でだろう。
「あ…」
「どうした?」
「これ見て」
それは手紙のようなものだった。
中に書いてある文字を声を出して読む。
「葵へ
死んじゃってごめんね。
ごめんね程度で許されないくらいの悲しみが葵にはあると思う。
でも自分はこれ以上クラスメイトが死んでいくのを見たくなかっただけ。
こんな卑怯な自分と友達になってくれて、ありがと。
絶対生きてね。
             瑠樹」
このメッセージを、心では、
読んで、
読んで、
読んで…
泣いて…
「… っ…うう…」
葵ちゃんが静かに、それでも確かに、泣いてた。
「そっか」
やがて葵ちゃんが決心したように立ち上がる。
「私、生きないと」
春香のため、瑠樹のため。
生きる決心をしてくれた葵ちゃんが正直うれしかった。
私も、生きないとな…
葵ちゃんは瑠樹ちゃんの手紙をてい寧に畳んで、自分の制服のポッケに入れた。
キーンコーンカーンコーン。
ああ、今日も始まるのか。
葵ちゃんも小部屋へ行く。
私も小部屋へ向かう。
すると、
「もういい」
という声がした。
咲ちゃんだ。
まさか。
「私は最後まで生き残れる自信がない。どうせどこかで殺されるのに、生きてる理由なんかない」
「そんなわけない!」
「うるさい!人狼かもしれないくせにこんなこといって!!!」
咲ちゃんの友達の奈々ちゃんが反論するも、無駄だった。
「私は、小部屋に入らない」
本気!?
そんなことしたら、春香と同じように…
『小部屋を施錠する』
そんなアナウンスが流れたので、焦って私は小部屋に入った。
ガチャン。
銃声は聞こえないけど、きっと咲ちゃんはうたれた。
こんなのもういやだ。
でも死ぬのはいやだ。
だから今日もこのおかしいゲームに参加する。
画面に『夜が来ました』とかかれている。
『人狼は、殺したい人を一人選んでください』
『白宮瑠夏:また花南ちゃんのときと同じ戦法でいく?』
『田辺美奈:いいけど誰にする?』
前は「友達が亡くなった」って理由で花南ちゃんを守れたから、今回も守る人が同じ考えの可能性は高い。
だとすると…葵ちゃんは選べないから…
『白宮瑠花:奈々ちゃんにする』
『秋山さやか:賛成』
カチカチッ。
そして夜が明ける。
『今日殺されるのはこちらの人です』
え?
うそうそうそうそまさか。
『死亡者:大江戸奈々』
『大江戸奈々:そんな…』
奈々ちゃんが守れていない…
画面の向こうのみんなもきっと青ざめてる。
でも奈々ちゃんはなぜかおちついてるように見えた。『大江戸奈々:まあ、咲といっしょに逝けるし、いいか…』
いいか?
死にいいかなんて感情はない!
それなのに…
狂ってる…
ビーー!
『大江戸奈々:まっててね…今逝くからね…』
怖くないの!?
そして『大江戸奈々が死亡しました』と画面に表示される。
話し合いが始まった。
『大城みゆき:でも、話し合えって言われてもまったくわかんない』
『連野ひかる:それよ』
変に雑談のような言葉がかわされると次の瞬間とんでもない言葉を私は目にした。
『秋山さやか:私は人狼よ』
ええええ!
それを明かすの!?
そんなことしたら死ぬのは…
『連野ひかる:ちょっとそれ本気!?』
こんな言葉がでてくるのもめずらしくない。
『秋山さやか:これは本気!おねがいだから私に投票して!』
どうしてこんなことが。
『豊橋秀美:こんなの嘘だよね?人狼ゲームをかく乱させるための…』
『秋山さやか:だから本気!』
画面の向こうのさやかの声は本気だと感じた。
でも…
『秋山さやか:人狼が人狼であることを明かせば、このゲームのルールを壊せる。それに私はだれかを必ず殺さなければいけない。でも、そんなバカなこと、自分にはできない!こうなったら、殺すのは…』
『白宮瑠夏:ちょっとちょっとちょっと!』
そんなこといってんのに、カーソルが秋山さやかの文字へ行く。

カチカチッ。
『投票結果』

秋山さやか:13人
…だよね。
『秋山さやか:ありがとう』
ビー!
そして画面には『秋山さやかが死亡しました』と表示される。
小部屋が開く。
いち早く目に飛びこんできたのは咲ちゃんの死体だっ
奈々ちゃんとさやかちゃんの小部屋をみたけど、床はちゃんと開いてた。
あぁ…また死んじゃった…
初めのほうなのに、もう人狼が3人だ。
さすがになんとかしないと。
そうのん気に思っていた。
次の日そんな暇ない出来事が起こると知らずに…

死亡者:秋山さやか、一ノ瀬瑠樹、大江戸奈々、畑咲
生存者;11人
15-4= 11
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