緑のリボン
プロローグ
季節は春。

4月中旬になったが、まだ冬の肌寒さがの残っている。

桜の木も、まだ花を咲かずにつぼみが多い。

「もう春んなったんだな!桜のつぼみがある!!」

「まあね」

2人の男女の会話が聞こえてくる。

「な、今日はどこ行く?俺クレープ食いたい!」

「お金ないから行きたくない」

高校生だろう、2人はブレザーを着ていた。

男子のほうは、制服をダラダラと着こなし、短髪で童顔だが長身で男らしい。

女子のほうは、制服もきっちりと、長い髪を1つで結んでいかにも女性という感じ。

いわゆる世間で言う美男美女そのものだった。

「ほらまた知恵は!金に気使いすぎ」

「お金がないだけって言ってるでしょ」

「だけど~甘い物~」

「秀ちゃん、うるさいよ」

ふざけているようだが、とても仲の良さそうな2人。



だが、2人はまだこの当たり前の日常が崩されるなんて思っていなかった。

そう・・・・・2人が予想もしなかった悲劇のような。

あぁ運命は突然だ。

「あんまりうるさいと、私ね秀ちゃん嫌いになるから」

「えええええ!!嫌だ嫌だ、じゃあ静かにする」

「・・・よろしい」

2人は歩み続ける。

肌寒い風にふかれながらも、そして何も知らずに――――
< 1 / 6 >

この作品をシェア

pagetop