緑のリボン
そして当真は知恵のもとへと急いだ。

『知恵ちゃん知恵ちゃ~んっと見ーつけた!!』

廊下の突き当たりに、階段から下りてきたのだろう。

知恵が重そうな教材を抱えながら、よろよろと歩いていた。

今にも転びそうにふらつきながらも、大事に教材を抱えている姿を当真は

「ね、俺手伝うから!!」

「え?」

知恵の持っていた教材を「ひょい」と軽々と持ち上げた。

「な、あの、私、持ちますよ!」

当真は教材を抱え、歩こうとしたとこを知恵に止められた。

困った様子で見てくる知恵に、当真はニヤっと笑って

「こんな可愛い子が困ってるんだ、助けない男がいるんか?」

再び歩み始めた。

それをただ呆然として見ている知恵は、当真の側へ急いで向かい、当真の横を歩く。

「ん?な~に??」

優しく問いかけると、知恵は顔を赤くし・・・

「名前、教えてくれませんか?」

「俺の?」

知恵は俯きながら首を縦に振った。

「あ、俺は当真。小林当真っての。よろしく知恵ちゃん」

当真が笑いかけると、知恵は不思議そうな顔しながら

「どうして私の名前を知っているんですか?」

と聞いてくる。

「あはははは!だって知恵じゃん、君、天才少女って事で校内で有名じゃんか。それに秀樹とも一緒にいるし・・・美少女だし!!」

それを聞いた瞬間、知恵はもっと顔を赤らめる。

「そうなんですか、えっとじゃ、改めまして桐原、知恵です・・・よろしくお願いします」

また顔を俯かせる。

そして当真は

「こちらこそ、よろしく知恵ちゃん」

決め手の笑顔で知恵に語りかける。

「はい・・・」

2人は教材を職員室へと持っていくと、当真の誘いで授業をサボった。


そして屋上へ行って、長時間話した。

知恵は当真と話していると、幸せそうな顔だった。

そう、完全に知恵は当真に恋心を抱き始めていたのだ。

いや惹かれている。

当真本人も気ずかない、秀樹も智也も知らずに・・・・・


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