冷徹大臣の雇われ妻~庶民出身成り上がり女官の次の就職先は伯爵夫人ですか~
第1章
どうしてリリアンがカンディードと結婚することになったのか。
それは、今から半年前に遡る――。
「お義姉ちゃん! 起きて!」
部屋のカーテンが音を立てて勢いよく開く。
朝日の眩しさは寝起きの頭には強烈で、リリアンは光に背中を向けようと寝返りを打った。
しかし、毛布まではぎ取られてしまうと、さすがに起きるほかない。
瞼を開けると、見知った顔の女性が寝台の側で仁王立ちしていた。
彼女はスカイブルーの瞳を吊り上げ、リリアンを見つめている。
「なによ、ロジアネ……」
「今、何時だと思ってるのよ!」
女性――ロジアネが壁掛け時計を指さした。
寝起きのぼんやりした頭で、リリアンは時計を見つめる。
「えっと、九時半?」
「違うわ。十時半よ」
確かに目を凝らすと、十時半にも見える。
「私、十三時からお仕事に行くことになった――って、昨日言ったよね?」
記憶を掘り起こす。
しばらく思案して、リリアンはハッとする。
「そういや、夕飯のときに言ってたわね」
昨日の夕飯の席でのロジアネの話を思い出す。
普段は休みだが、明日は人手が足りないので出てきてほしい――と仕事先から言われたと。
それは、今から半年前に遡る――。
「お義姉ちゃん! 起きて!」
部屋のカーテンが音を立てて勢いよく開く。
朝日の眩しさは寝起きの頭には強烈で、リリアンは光に背中を向けようと寝返りを打った。
しかし、毛布まではぎ取られてしまうと、さすがに起きるほかない。
瞼を開けると、見知った顔の女性が寝台の側で仁王立ちしていた。
彼女はスカイブルーの瞳を吊り上げ、リリアンを見つめている。
「なによ、ロジアネ……」
「今、何時だと思ってるのよ!」
女性――ロジアネが壁掛け時計を指さした。
寝起きのぼんやりした頭で、リリアンは時計を見つめる。
「えっと、九時半?」
「違うわ。十時半よ」
確かに目を凝らすと、十時半にも見える。
「私、十三時からお仕事に行くことになった――って、昨日言ったよね?」
記憶を掘り起こす。
しばらく思案して、リリアンはハッとする。
「そういや、夕飯のときに言ってたわね」
昨日の夕飯の席でのロジアネの話を思い出す。
普段は休みだが、明日は人手が足りないので出てきてほしい――と仕事先から言われたと。