鬼ノ血

羅刹計画

1. 血に染まる戦場

「ギャアアアア!!」

ズバァァン!!

想乃叶の竹刀が、羅刹の首を跳ね飛ばす。

「くっ……こいつら、しぶとい!」

桂が薙刀を振るい、迫りくる羅刹をなぎ払う。

「龍馬、そっちは!?」

「おう、なんとかやっとるで!」

バンッ! バンッ!!

龍馬の二挺拳銃が火を吹き、羅刹たちの頭を正確に撃ち抜いていく。

「……だが、数が多すぎる」

土方が鋭い目で戦場を見渡す。

無数の羅刹たちが、次々と湧き出てくる。

「まるで"無限"にいるみたいやな……」

「そんなわけあるか!」

桂が歯を食いしばる。

「どこかに"本体"がいるはずだ!」

「フフ……正解だよ」

九条院宗士が静かに笑う。

「"羅刹"は、ただの人間じゃない」

「彼らは"鬼ノ血"を使って造られた"兵士"さ」

「鬼ノ血……!?」

想乃叶は息を呑む。

(まさか、私と同じ……!?)

「フフ、その反応……やはり君は"特別"だね」

九条院がゆっくりと想乃叶に歩み寄る。

「君の"血"こそが、"完全な羅刹"を生み出す鍵になる」

「……!?」

「君が"鬼"になれば、新選組も維新志士も関係ない」

「"最強の剣士"になれるんだよ、沖田 想乃叶」

「……」

想乃叶は竹刀を握りしめた。

「そんなもの、私はいらない」

「"鬼"になんて、ならない!!」

バシュッ!!

想乃叶が九条院に斬りかかる。

「フフ……」

しかし——

九条院は、一歩も動かずに想乃叶の攻撃を受け止めた。

「……なっ!?」

竹刀が、九条院の手で止まっている。

「悪くない」

九条院の目が、冷たく光る。

「だが、"まだ足りない"」

ドゴォォッ!!

九条院の蹴りが、想乃叶の腹部に突き刺さる。

「がっ……!!」

想乃叶の身体が吹き飛び、地面を転がった。

「想乃叶!!」

土方が駆け寄る。

「……クソッ……!」

想乃叶は歯を食いしばりながら立ち上がった。

(こんなところで……負けられない!)

(私は、新選組の剣士なんだから!!)

2. 羅刹の真実

「……さあ、どうする?」

九条院が手を広げる。

「お前が"鬼ノ血"を完全に覚醒させれば、俺たちと戦える」

「でも、今のお前では"羅刹"にすら勝てない」

「さあ、どうする?」

「……うるさい」

想乃叶は立ち上がる。

「私は"私の剣"で戦う」

「"鬼ノ血"に頼るんじゃない」

「……フフ、それが"できれば"いいけどね」

九条院が指を鳴らす。

ズズズ……!!

突然、羅刹たちが全て停止した。

「……?」

「見せてあげよう」

九条院が微笑む。

「これが"完全な羅刹"だ」

ゴゴゴゴゴ……!!

羅刹たちが一つに融合し、巨大な影を形成する。

「……なっ!?」

「なんや、これは……!?」

桂と龍馬が驚愕する。

"鬼神"——"羅刹王"が誕生した。

「フフ……君たちが、"鬼"にならないなら——」

「"鬼"が、お前たちを喰らうだけだ」

ガァァァァァァッ!!

羅刹王が、想乃叶たちに襲いかかる——!!
< 10 / 17 >

この作品をシェア

pagetop