天使の階段
部活で汗びっしょりの顔を洗いに、外にある給水所へ行くと、柊子が話しかけてきた。

「ねえ、大宮君。また図書室から紗香のこと、見てるよ。」

「えっ?」

上を見上げると、図書室の窓に男子が一人。

同じクラスの大宮統吾(オオミヤ トウゴ)君だ。


目が合うと統吾君は、笑顔で手を振ってくれた。

私もさりげなく振り返す。

それを見た柊子が、楽しそうに話しかけてくる。

「なになに?もう付き合ってるわけ?」

「まさか!」

統吾君とは、一度席が隣同士になってから、仲良くなっただけだ。

だけど、なんとなく私の事、好きなのかな……って思う。


でも統吾君と付き合ったら、気負いしそう。

彼のお父さん、お医者様だから。
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