天使の階段
そんなある日、その統吾君に廊下で呼び止められた。

「岩崎。」

「統吾君……」

彼は勉強家なのか、相変わらずたくさんの参考書を持っていた。

「岩崎って遊園地好き?」

「遊園地?うん、好きだよ。」

「父さんが新しく開園する遊園地のチケット、貰ってきたんだ。一緒に行かない?」

「えっ…い、一緒に?」

廊下で思わず大きな声を出しちゃった。

「ダメ?」

私の顔をのぞく統吾君。


誘ってくれるのは、嬉しい。

でも、私にはもっと大事な事がある。

「ごめん……最近部活が忙しいから。」

「そっか。じゃあ、また。」

統吾君は全く気にしないで、通り過ぎて行った。

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