私は今日女になる
「え?好きって?」

「大事に想ってるって事。」


要するに、私とは下世話な関係には、なりたくないって事?

そう言いかけて、唇を閉じた。

「焦るな。自分を大切にしろ。」

私は、その言葉にイラっとした。

「焦って悪い?25にもなって、処女だなんて。焦るしかないでしょ。」

「人生で一度きりだよ。少なくても、こんな会議室でする事じゃない。」


私は泣けてきた。

今までずっと大切にしてきた。

大切にし過ぎたんだ。きっと私は。


「だったら、ホテルに連れて行って。そうだよ。今夜、仕事が終わったら行こうよ。」

その瞬間、私の頬に痛みが走った。

私は、大田に頬を叩かれたのだ。

「何するの?」

「分かってないよ、すずは。」

「何を?」

「俺の気持ちをだよ!」

そう言って大田は上着を着ると、会議室を出て行った。
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