仕事の出来る悪役令嬢、薄幸王子様を幸せにアップグレードしておきました。

08 心疾患

「ええ。そうなのですわ。先んじてお伝えしていた通り、エレイン様は不遇にある弟ウィリアム様を、どうにかして助けだそうと尽力なさっています。それを知り彼女を煙たがったダスレイン大臣に殺されてしまうのですわ」

「それで、俺は何をすれば良いんだ。ここに幽閉されていたとて、何も出来ない訳ではない。姉上を暗殺から救うのならば、今から何かをして早過ぎるということはあるまい」

 不機嫌そうに腕組みをしているウィリアムは、眉を寄せて言ったので、私もその通りだと大きく頷いた。

 エレインの暗殺防止については、まだまだ先の出来事こととは言え、絶対に失敗出来ない事が事なだけに先んじていくつかの対策を講じておく必要がある。

 私の方でも、それは考えていた。

「……はい。エレイン様の暗殺防止については、もちろん私も、最優先すべき事項であると捉えています。ですが……現在の私の直近目標としては、ウィリアム様の立太子の儀式を成功させることなのです」

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