仕事の出来る悪役令嬢、薄幸王子様を幸せにアップグレードしておきました。
10 仮縫い
「……モニカ。お前は確か、生粋の貴族令嬢ではなかったのか」
「ええ。私の公式な身分は、ラザレス伯爵令嬢モニカ。仰るとおり、シュレジエン王国貴族でございます。ウィリアム様」
そもそも伯爵位以上の貴族令嬢でなければ、王族に嫁ぐことは許されず、王太子に嫁ぐならば、何代も前から続く『品行方正』な血筋であることが求められる。
王太子ウィリアムの婚約者モニカは、そういった厳しい基準を満たしている、選り抜きの伯爵令嬢ということになる。
ここでウィリアムが何を言いたいかは、理解出来る。社交を仕事とする貴族令嬢は、お茶会や夜会に出て優雅に暮らすのが、いわばお仕事。
今の私のように、お針子の真似事なんて、決してしないものなのである。
私は|仮縫い(フィッティング)のために持ち込んだ様々な布を当てて、彼の身体に沿うように取り付けていく。何人かで協力するような作業ではあるけれど、一人でも出来るように訓練して来た。
しかし、生けるマネキンとしての役目を果たすウィリアムには、長時間立ったままで居てもらうことになるけれど、これはもう仕方ない。
「ええ。私の公式な身分は、ラザレス伯爵令嬢モニカ。仰るとおり、シュレジエン王国貴族でございます。ウィリアム様」
そもそも伯爵位以上の貴族令嬢でなければ、王族に嫁ぐことは許されず、王太子に嫁ぐならば、何代も前から続く『品行方正』な血筋であることが求められる。
王太子ウィリアムの婚約者モニカは、そういった厳しい基準を満たしている、選り抜きの伯爵令嬢ということになる。
ここでウィリアムが何を言いたいかは、理解出来る。社交を仕事とする貴族令嬢は、お茶会や夜会に出て優雅に暮らすのが、いわばお仕事。
今の私のように、お針子の真似事なんて、決してしないものなのである。
私は|仮縫い(フィッティング)のために持ち込んだ様々な布を当てて、彼の身体に沿うように取り付けていく。何人かで協力するような作業ではあるけれど、一人でも出来るように訓練して来た。
しかし、生けるマネキンとしての役目を果たすウィリアムには、長時間立ったままで居てもらうことになるけれど、これはもう仕方ない。