仕事の出来る悪役令嬢、薄幸王子様を幸せにアップグレードしておきました。

12 悔しがる影

「はーっ……心底疲れたな。モニカ。遅くまで付き合わせて悪い。着替えの手伝い、ありがとう」

「いいえ。ウィリアム様」

 先程までウィリアムの着用していた立太子用の儀礼服は、本人がひとりで脱ぎ着出来るような、簡単な服ではなかった。私が脱ぐのを手伝って、湯浴みをして来たのだ。

「お前……何をしているんだ?」

 夜の窓辺でお父様の部屋から借用して来た大きなオペラグラスを手にしていた私が振り返り、ウィリアムは、そんな姿を見て不思議そうに言った。

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