【短編】A pipe dream 〜ソレデモオモイエガク〜

「どうしたの? 浮かない顔してるよ」



えっ?
私そんなに顔に出てたのかな。

頭では理解していているつもりだったけど。

本当は自分が一番使いたかったフレーズを採用して欲しかった、そう心の中で強く思ってる……んだろうね。



「仕事に妥協はしないけど」



ポツリと漏らした言葉に霧島くんはすぐに反応して相づちをうった。

だから私は、そのまま言葉を続けた――。



「思い描いていた仕事とは違うなって。やっぱり仕事ともなると、夢だけではやっていけないものですよね」



その時、一瞬霧島くんの眉が上がった気がした。



「どういうこと?」

「私が一番使いたいフレーズは、周りに求められていないってことですかね」

「もしかして。さっき言ってた“風が体を包む”ってやつ?」


「っ、聞いてたんですか?」

「……うん」



あの時そんなに大きな声で喋ってた?


私、あのフレーズがよほど気にいってたんだろうなぁ。


そう思わずにはいられなかった。



「夢は夢なんですよね。あ、霧島くんは違いますよ! これからたくさんの人に夢を与え続けていきますよ!」

「……いの?」



えっ? 何て?





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