【短編】A pipe dream 〜ソレデモオモイエガク〜
「霧島彬かっこよかったんでしょ? 楽しみ〜!」
「うん、私もかなり楽しみ」
一度会ったことがあるからか妙に親近感があると言う瞳を隣に、部長に連れられて完成したテープを見ることになった。
編集した映像はどんな仕上がりになったのか楽しみ。
それもあるんだけど、本当は霧島くんの言った言葉が気になっていたから。
胸がドキドキと鳴りやまない。
「あ、始まる」
スクリーンに映し出された映像。
静かな室内に音が響き渡る。
「……えっ?」
どういうこと?
何で?
私の頭の中はパニック状態に陥った。その後の映像が頭に入らないほど……。
ようやく我に返ったのは瞳がかけた言葉。
「霧島彬すごいねー!
私ファンになっちゃった、って、あれっ? 来夢〜?」
「へっ? あ、ごめん」
「どうしたの?」
「ちょっと部長のところに行ってくる!」
それだけ言って、私は部長の元へと駆け出した。
どうして?
何で、あのフレーズが使われてるの?