巡恋-出逢ってくれてありがとう-
「もしもし、瑛汰?」

『おぉ~どうした?』

「明日も迎えに来てね…。」

『また美研(美術研究所の略)行かんの?』

「…行かない…。」

『………。』

「心配しないで…そのうち行くから。」

『俺のせいか?俺もイィ加減、2浪だもんなぁ~…一緒に受験勉強頑張ろうって言ってたのに、結局毎日一緒に居るしな…。』

「…関係ないよ…瑛汰は頭イィから…今度は絶対合格するって。」

『………。』

「…目指してるんでしょ?国立大!」

『………。』

「………?」

『…明日、学校まで迎え行くわ。』

「………うん。」





これが…

私の当時の彼氏





2浪といっても…

瑛汰は

親の金で

自由に遊び呆けている

プーだった





大学を受験する気なんて

全然無いのは分かっていた





瑛汰も私と同じ





友達が受験するのに

何と無く…

付き合ってるだけ





将来の夢も

希望も無い2人

かと言って…

努力も挑戦もしない

社会から

現実から

目の前の事から…





逃げている2人





だから…

瑛汰といると

凄く居心地が良かった


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