君のいない世界
(今日も学校休んじまったな…)
あれから跡部は一週間近く学校へ行っていなかった。
忍足に会いたくない、というのも一つの理由だったが、何より、この泣き腫らした顔では学校へ行けなかった。
跡部は、どれだけ時間がたっても、忍足の事を考えると涙が止まらなかった。
(あんな事があっても、まだ忍足の事が好きなのか…)
浮気をされ、別れてもなお、跡部は忍足を忘れられなかった。
(またあいつを想うと…涙が出てきやがる…)
再び跡部は涙を流していた。

コン コンッ

「景吾お坊ちゃま、失礼いたします。」
「…何だ。」
跡部は顔を隠しながら言った。
「少々、気分転換をなされたらどうでしょう。ずっと家にいるより、外で散歩などをしていらした方が、気分も晴れるかもしれません。」
(散歩か…確かに家にいてもすることも限られてくるしな)
「そうだな、少し外の空気を吸った方がいいかもな。少し、出かけてくるぜ。」
跡部はコートとマフラーを手に取った。
「いってらっしゃいませ。景吾お坊ちゃま。何かあれば、すぐにお車をお呼び下さい。」
「あぁ。」
そして、跡部は家を出た。

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