奏でない音を

……そう思っていたのに、神様が本当にいるのなら、神様って本当に意地悪だ。


「おい」

「っわ!?」


決して自分に向けられることなどないって思っていた声が、突如後ろから掛けられて、思わずあたしは奇声をあげた。

「わ、って何だよ。おれは化け物か。んな驚いて」


……恥ずかしい。

「ごめんなさい……であの、何ですか」


うん、何か用事があるんだろう。

そうでなきゃ、彼があたしに話し掛ける理由がない。

ほとんど面識ない相手に、用もないのに話し掛ける人は、少なくともあたしの周りには存在していない。


はたして、彼は言った。

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