奏でない音を

「春香ちゃんって……、あの? 安藤くんの幼なじみで美優の部活の後輩の?」

「そう」

「な、何で!?」



……放課後部活でなぜか昨日のことを知っていた光樹に訊かれ答えたときも、同じ反応をされた。


「保健室で会ったから……っていうか、光樹は何で知ってるの?」

「え? あぁ、杏里に聞いた」


そういえば、杏里と光樹は去年同じクラスだったんだっけ。

知らない間にふたりは揃って、あたしの恋を応援してくれていたらしい。


「美優ー、頑張ったね、そのメンバーじゃ気まずかったでしょ? ……あ、先生来ちゃう、じゃ私パート練行くね」

光樹はトロンボーンを片手に、音楽室を出て行った。

< 23 / 33 >

この作品をシェア

pagetop