奏でない音を
超きらきらの、これでもかってくらいスパンコールを縫い付けた生地に、大量のレースをあしらった、やたら派手なワンピース。
「どう? シンデレラをイメージして作ってみました!」
どうって、どこがシンデレラ……?
「やだ着たくない!」
あたしの抵抗もむなしく、やむなくその、ひらひらの衣装を纏う。
「わあっ、超いい! 篠原さん似合うよー」
これ似合っても、あまり嬉しくない。
「きゃー、緊張するねっ」
緊張よりも、恥ずかしいんだけど。
だけど緊張はしてたみたいで、ステージ上がってからの15分間、何をやったか、何一つ覚えてなかった。