奏でない音を
「あ、美優ー! 劇ウケたよ、何あの衣装! 超派手!」
「光樹、笑わないでー……」
て言うかウケたの衣装なんだ。
……午後。
部活の演奏の為ステージ裏に行くと、すでに楽器を手にした光樹が爆笑していた。
もうっ、恥ずかしかったのに!
「だけど美優上手かったよ、ドラムも頑張ってっ」
「光樹ー、プレッシャーかけないでー」
「あはは、頑張れー」
……光樹とふざけていたら、少し緊張が紛れた。
ライトを落としたステージにあがる。
楽器をセットし、スティックを握る。
始まる。
ぱっ、とライトが点いた。