奏でない音を

「美優もさ」

「ん?」

「もっと積極的になったって、いいんだよ?」


……光樹は読心術も使えるのか?

あたしの思っていたことに、答えるように話すから、ついそんなことを考えた。

「まさか。美優が分かりやす過ぎるの。何考えてるか見てれば分かるよ」

……やっぱ読まれてた!

さすが光樹、ってところか。


だけど光樹はそれ以上は言わず、結局別れ道のところまで、当たり障りのない会話が続き。


「じゃあねー」


と、いつもと何も変わらない言葉を交わしながらも、あたしの頭のなかではぐるぐる、色々なものが渦巻いていた。

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