桃色
私達は手を繋いで帰る。

ゆぅ君の手は温かい。


手が温かい人は心が冷たいとかって言うけど、それは違うと思う。

心が温かいから手も温かいんだよ。


・・・きっとね・・・・。



つい、最近まで周りの目を気にしてばっかりだった。

そんな私には考えもしなかったことだけど。


「なぁ~、ずっと気になってたんやけど、水嶋って俺のことずっと前からゆぅ君って呼んでるやん?何でなん・・・?」

「えっ?何でって?」

「他の女とかはだいたい名字で呼ぶやん?ゆぅ君って呼ぶん水嶋だけやし・・・」

「えぇ~、桐島君って呼ぶほうがいいの?」


私は膨れっ面でゆぅ君を見る。


「違うって!!何でかな~って思っただけやって!!」


ゆぅ君は慌ててそう言った。

そんなゆぅ君がすごく可愛くて私は素直にこう言った。


「私だけの呼び名がいいの~!!私、好きな人のことは名前で呼ぶの~!」


私がそんなことを言うと、今度はゆぅ君が膨れっ面で言う。


「やっぱり、健二のことも好きなんや~!あっ、ヒロのことも好きなんや~!!」

「違うよ・・・。私はゆぅ君だけが好きだよ!」


私がそう言うと、ゆぅ君は俺も~ってギュっとしてくれた。


「ゆぅ君ってヤキモチ焼きだね~」


私は笑った。


「俺、こんなん初めてや~」


ゆぅ君は真っ赤になっていた。


「ゆぅ君も私のこと名前で呼んでよ!桃子って呼んでよ!」

「えっ・・・、マジで?」

「うん。マジで!!」


ゆぅ君はまた今度なって笑った。


ずっと、こんな毎日が続けばいいなぁと思っていた。


でも、やっぱり現実はそんなに甘いものじゃなかった。

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