桃色
「指輪失くした事、怒ってねぇし！」


ゆぅ君は怒った顔でそう言って私を見た。


「違うの。それが原因じゃないの。もう、ゆぅ君と一緒にいられないの。本当にごめんなさい・・・」


私がそう言うと、ゆぅ君は心配そうな顔をした。


「誰かに、何か言われたんか？」

「何も言われてないよ・・・」

「だったら、何でなんや？
　何でも話せって言うただろ？」


ゆぅ君が本気だから、私も本気で言わなきゃと思った。


「美鈴ちゃんのこと裏切れないから・・・」

「神田に何か言われたんか？」


ゆぅ君はすごく怒った顔で聞いてきた。


「美鈴ちゃんには何も言われてないよ。私が、美鈴ちゃんのこと、裏切れないって思ったから・・・」


すると、ゆぅ君はもう神田のことは関係ないだろって言った。


「もう、神田とは終わってるだろ？もう関係ねぇんだよ！！何で神田のことそんなに気にするんだよ？」

「分かんないの？友達だからだよ？」

「神田はもう、そんなこと思ってねぇよ」

「だけど、私は友達だと思ってるの！！」


私は感情的になってそんな言葉をぶつけてしまった。


「それだけで、別れようって言うんか？」


ゆぅ君がため息をついて言った。



それだけって・・・。

ゆぅ君にとってはたったそれだけのことかもしれない。


でも、私にとってはそれがすごく大きいことなんだよ。


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