桃色
「今日、俺ら一緒に帰る約束してたよな?それももうなしになったんか?」


私は小さく頷いた。


「俺はマジで、水嶋のこと好きやって言うたやん?それでも、もう無理なんか?」


ゆぅ君はとても悲しそうな顔をしていた。

私はそれでもこらえた。


「・・・ごめん・・・」

「・・・・・分かった」


ゆぅ君は何かを考えながらそう言った。


それからしばらく、ゆぅ君は何も言わなかった。



キン~コン~、カン~コン~


チャイムが聞こえた。

いつの間にか給食の時間が終わったみたいだ。


そして、ゆぅ君は


「俺は諦めんからな!」


たった一言そう言うと、1人で戻って行った。



もう嫌われてしまえばいいと思った。

私のことなんて嫌いになってしまえばいい。

忘れちゃえばいい。


そしたら、全部うまくいく。

・・・そう思ったんだ。


私は一人去っていくゆぅ君の背中を見ながら、首にさげている指輪を握り締めた。


こんなに辛いなんてね。

好きなのに、別れを選んだ。


私、間違ってないよね?何度も自分に問いかけた。


私はゆぅ君と付き合ってたこと絶対に忘れないよ。


いつまでも、ずっと・・・。



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