桃色
相変わらず、クラスのみんなは私のことを最低だとかなんとか言ってきた。


そんなこと、誰かに言われなくても自分が一番よく分かってるよ。

最近、みんなとの溝が埋まってきてたっていうのに私はその溝を今度は自分の手で広げたんだ。

なつと千絵にも帰りながらゆぅ君と別れたことを話そうと思った。


「ごめん、ごめん!!」


私が健ちゃんと話し終えて、下駄箱に行くと、なつと千絵が待ってくれていた。

二人は私を見ながらこう言った。


「優士君がね、門のところで待ってるって・・・」

「えっ・・・?」


私はびっくりした。


「水嶋に伝えてくれって・・・」


なつがそう言って、門を指差した。


あたしは恐る恐る目を凝らして門の辺りを見つめた。


・・・そこには、ゆぅ君がいた。

ゆぅ君は門のところにしゃがんで向こう側に顔を向けていた。


「行った方がいいんじゃない?」


千絵がそう言ってくれる。


私はゆぅ君を見た。

今も変わらず、大好きな人・・・。


どうして、私のこと待ってくれてるの?

嫌いになってないの?

なんだか、胸が苦しくなった。



「水嶋、どうする?」


なつが私を心配そうに見つめた。


「・・・行ってくる」


私はそう言って、足を進めた。


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