桃色
「桃子~、何か健二が呼んでるよ?」

「・・・健ちゃんが?何で??」


呼んでるって・・・。

健ちゃんと私はあの日以来、一言もしゃべってないのに・・・。


意味の分からない私を千絵は引っぱってどこかへ連れて行く。


「健二がさ、あそこで待ってるから」


千絵が指差す方には、健ちゃんがいた。

隣にはゆぅ君もいる。


「・・・何で?」


私はまったく、意味が分からなかった。


「桃子と一緒に写真、撮りたいみたいだよ」


千絵が嬉しそうに笑って、そう言った。


「何で?無理だよ。恥ずかしいし・・・」

「いいから、行ってきなよ!」


なつも来てくれて、そう言ってくれた。


私はどうしようか・・・と考えていると向こうから健ちゃんの呼んでる声が聞こえた。


「桃子~!ちょっと来い~!」


あの頃と変わらない健ちゃんの呼び方。

すごく嬉しかった。


でもさ、恥ずかしいよ。

あんな大きな声で呼んで・・・。

みんないるのに。


お母さんだっているんだよ。


「早く、行きなよ~!」


なつと千絵が応援してくれてる。

二人は私の気持ちを分かってるんだよね。


だからこそ、応援してくれてるんだよね。


私は、健ちゃんとゆぅ君が待っている所へ向かった。


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