桃色
翔さんが迎えに来てくれて、私は車に乗り込み翔さんの家に向かった。


いつもなら、今日来たお客さんの話をしてくれるんだけど、今日は翔さんは何も話さなかった。


私はそんな翔さんの様子をちっともおかしいとも思わなかった。

疲れてるのかな?なんて思ってた。

私は翔さんの決意に全く気付いてなかったんだ。


翔さん家は1ルームで少しこじゃれたマンション。

さすが、美容師だなって思う。


いつも通り私はソファに座った。

翔さんは隣・・・なんて思ってたらなぜか私の正面に座った。


そして、私をギュッと抱きしめてきた。



「・・・翔さん!?」

私はいつもと違う翔さんを見てびっくりした。

翔さんは少しすると、私から離れて外を見ながら話し始めた。


「俺は、桃子のこと好きやけど、桃子は俺のこと好きか?」

「好きだよ」

私はすぐにそう答えた。

私の返事を聞くと、翔さんはこう言った。


「嘘つくな!!桃子は俺を通して誰を見よんや?誰のこと想ってるんや?」

「えっ、何言ってんの?」

私は翔さんの言っている意味が分からない。

「俺、もう、無理や・・・。桃子は俺のこと本気だったか?そうじゃないだろ??」

「何言ってんの!?本気だよ、本気に決まってるじゃん!!」

私がそう言っても翔さんは信じてくれない。

「俺、ずっと不安だった。桃子に愛されてるなんて思えない。俺、知ってたんや、桃子の昔のこと・・・」

「何で・・・?それって、どういうこと??」







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