桃色
これから私は、あんな奴らに文句を言われて、殴られるんだね。

いっそのこと、学校、辞めようかな?

そう思った。

だけど、どうしても高校だけは卒業したい。


あと、1年。

あと、1年だけ辛抱すればいい。

私は、そんなことを思ってそこに座り込んでいた。


もう何もかもが嫌になってきた。


「・・・水嶋さん、大丈夫?」

私を呼ぶ声がした。


そこには、私を心配そうに見つめる男の姿があった。

それが、彼氏じゃないのが虚しい。


「大丈夫だよ。え〜っと、タケルの友達だよね?」

確か・・・。

・・・名前なんだったっけ?

私がそう思ってると、その男がこう言った。


「俺、同じクラスの玉田だけど・・・。杉山がいねぇからこんなことされてるんだろ?俺、杉山に言っとくから・・・」

「あぁ、玉田君か・・・」

玉田君なんて知らなかったけど、とりあえずそう言ってみた。


「・・・って、杉山って誰のこと?」

「杉山タケルだよ!いつも一緒にいただろ?俺、杉山に言っとくし!」


杉山って言うんだったけ?

タケルの名字・・・。

すっかり、忘れてたよ。


「いいよ。私、タケルとは関係ないんだし。別に、大丈夫だから。言わないで!」

「本当に言わなくていいのか?」

「言わなくていい!!」


私はそのまま教室に戻った。


クラスの人達の視線が痛い。

確か、あの頃もこんな視線が向けられてたっけな。


でも、今回は違う。

腫れ物を扱うみたいな・・・。

私の存在を汚いものみたいな・・・。


そんな視線。





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