桃色
タケルは私との出会いを話し始めた。

「俺、健二にお前のこと頼まれてたって言うてただろ?んで、高校入ってから、しばらくお前のこと見てたんや」


私は頭の中で整理しながら聞いた。

「あの、1年の時、助けてくれた時だよね?」

「そうや・・・。俺は入学してからずっとお前のこと探してた。授業は出てなかったけど、学校には行っててな・・・」

タケルはそう言いながら続けた。

「初めは、健二に頼まれてるし、仕方なしにお前のこと見てた」

「・・・うん」

「でも、健二に頼まれたけんって、俺はどうでもいい奴守ったりせん・・・」

「それって、どういうこと?」

私がそう言うと、タケルは大きくため息をついた。


「お前のこと見てるうちになんか気になって仕方なくなってきたんや。全くタイプじゃなかったのに・・・」

「それ、失礼だよ!!」

「ごめん。それでな・・・」

「それで・・・?」


・・・知りたかった。

あの頃のタケルの気持ちが知りたかった。


「あの日、女達がお前のこと呼びに来て、やっと初めて声かけた・・・」

「・・・うん」

「それからな・・・」


タケルは真剣に話してくれた。


タケルのこんな真剣な顔、初めて見るよ。





< 236 / 500 >

この作品をシェア

pagetop