桃色
それから、私は髪の毛を黒く染め直した。

付き合ってた男とも別れた。

この男だけは他の人と違うと想ってたのに、あまりにもあっけない別れだった。

やっぱり寂しくなんてなかった。

だけど、前に進まなきゃって思えた。


一度も名前呼んだことなかったよね?

玉田君・・・。

今まで一緒にいてくれてありがとう・・・。


留守電にそう、メッセージを残した。



そして、ピアスの穴は11個から7個にした。



「何で、7個なんや?」

タケルが不思議そうに聞いてきた。

「ラッキーセブンだから・・・」

私はそう言った。

「意味分からん奴!」

タケルはそう言って笑ってた。



久しぶりに黒くなった私の髪はなんだか変な感じだった。

「海苔みてぇ〜!!」

タケルはそう言って笑った。

そういうところも変わってないね。


タケルは仕事が終わるとすぐに私のところに来てくれた。

そんな日々が何日も続いた・・・。


いつの間にかタケルと一緒にいることが当たり前になっていた。

あの頃に戻ったみたい。

タケルといると楽しい。


タケルが来てくれるのを楽しみに待つようになってた。


でも、身体を重ねることはない。

キスもしない。

タケルと約束したからね。

でも、私が不安で寂しくなるとギュッと抱きしめてくれる。

変な意味はないよ。

温もりを感じたいんだ。

タケルにギュッとされると落ち着く。


でも、やっぱり、これは恋じゃない。




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