桃色
「俺、初め、まさか自分が桃子のこと好きになると思ってなかったんや。電話したんも、優士のこと聞こうと思ってたからで・・・。でも、すぐに桃子のこと好きになってしまった・・・」


翔さんが話してくれたこと。

私と翔さんが出会うずっと前のこと。


私達がまだ中学3年の頃、ゆぅ君が翔さんに話していたこと。


「優士が俺に話してくれたんや。水嶋桃子っていう子と付き合うことになったって」

私のことを・・・?

「ずっと前から好きだったけど、やっと付き合うことになったって。俺の親父のとこでずっとバイトしてたんや。そのお金で指輪を買って告ったってしかも、お揃いの指輪・・・」

「えっ・・・」

「でも、それからしばらくして別れたって聞いた。優士、すんげぇ暗くて、何があったんやって聞いても言わんかった。ただ、三日間だけの付き合いだったって」

「・・・・・」

「でもな、優士の右手に指輪があって、ずっと指輪は付けとくんやって。お守りやって言ってた」


・・・ゆぅ君もお守りにしてたの?

私と同じ・・・。


「俺、ずっと、桃子の首にぶらさがってる指輪が気になってた。桃子も優士と同じなんかって思った。何気なく聞いた時、桃子もその指輪のことお守りって言っただろ?あん時、すげぇ、苦しかった・・・」


何を言ったらいいのか、分からない。


「俺、最低だった・・・・・。優士がずっと桃子のこと想ってたのも知ってたのに、優士のこと裏切った・・・」


そう言う、翔さんの顔はどこか寂しげだった。



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