桃色
「優士な、卒アルに桃子と一緒の写真挟んでたんやで。アイツ、めっちゃくちゃ大事そうにしてた」

もしかして、それって卒業式の写真かな?


「二人で撮ったことあるだろ?その写真が大事そうに挟んであった」

それからも、翔さんは話を続けた。

「桃子もずっと指輪つけてるし、桃子もまだ優士のこと想ってるって分かったら、何か俺って邪魔やなって思った。俺のことも、優士に似てるから好きになったんやろうなって思ったりした」

翔さんに、そんなこと思わせてたんだね、私・・・。


「クリスマスに桃子に何かプレゼントしようって思ってた。でも、桃子に聞いたら、何もいらんって・・・」

そういえば、聞かれた・・・。

「そのネックレスがあるから、いらんって言ったと思って、悔しくて、ネックレス外せとかって言ってしまった」

そんなこと思ってなかったのに・・・。

私、あの時、翔さんがいれば、他には何もいらないって思ってたんだよ?


「俺、桃子に別れ告げる時、何回もためらった。でも、優士の気持ちも桃子の想いも分かるけん・・・。俺が身を引こうって思ったんや」
 
「そうだったの・・・?」


翔さんの話を聞くと、あの頃の翔さんの想いがよく分かってきた。

「やっぱり、私が悪いよ。翔さんのこといっぱい傷付けてた。ごめんなさい」


私がそう言うと、翔さんは笑ってこう言った。


「俺は、桃子に出会って幸せだったぞ」

私はその言葉がすごく嬉しくて

「私もだよ・・・」

そう言った。


「私ね、翔さんのどこが一番好きだったと思う?」

「どこ・・・?」

翔さんはすぐに聞き返してきた。


「仕事してるとこ!」

私がそう言うと、翔さんは笑った。




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