桃色
「あのさ、桃子の携帯にいきなりタケル君から電話来たでしょ?あれって実は私が番号教えたの。健二から頼まれてね」

「そうだったの?何でそのこと言ってくれなかったの?」

私がそう言うと、千絵はとても言いずらそうに話し始めた。

「タケル君が言うなって言ったの。タケル君、結婚することになって、桃子にさ、最後にもう一回だけ会いたかったんだって」

「えっ、タケル、結婚するの?」

・・・どういうこと??


「そうみたい」

「そうなんだ・・・」

「タケル君ね、今でも桃子のこと好きだと思う。好きだとは言わなかったけど見てたら何となく分かるよ」

何・・・?

千絵は何が言いたいの??

「タケル君、桃子をあんなにしたのは俺のせいだってわたしに言ったの。だから、俺が桃子を助けてやるって」

「タケル、結婚するんでしょ?なら、私のこと好きなわけないじゃん!!」

私が否定すると、千絵はそれ以上、話を進めようとしなかった。


「千絵ちゃん、なつが言おっか・・・」

なつが千絵に代わって私に話をしてくれるみたい・・・。



あの日、確かにタケルはこう言った。

付き合ってた時、本当に私のこと愛してたって。

そして、今も、好きだって。


でも、結婚するんでしょ?


タケル、一体、どういうことなの?


電話に出ないことと、結婚すること、何か関係あるの・・・?




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