桃色
なつが話し始める。

「健二君がなつと千絵ちゃんに教えてくれたんだけど・・・」

私は黙ってなつの話を聞く姿勢をとった。

「タケル君の、結婚相手の人って会社の部長の知り合いの人らしくて・・・。お見合いさせられたんだって。相手の女の人、タケル君のことすごい気に入っちゃって・・・。タケル君、仕事の都合上断れなくて、結婚するって決めたらしいよ」

タケル、お見合いしたの・・・?


「タケル君、自分のことも大変なのにさ、水嶋の心の傷、消したいって。消えるまで自分がそばにいるって。水嶋の傷が消えたら自分も消えるって」

「えっ?」

じゃぁ、もうタケルは・・・。

「タケル君が水嶋の前からいなくなったら、また傷が増えるんじゃない?って聞いたらね、タケル君笑ってそんなわけねぇじゃんって・・・。俺はあいつにとってそんなたいした存在じゃねぇって」

なによ、それ・・・。

「でも、もし俺がいなくなって水嶋がまた変になったら、なつと千絵ちゃんに頼むって」


私は何も言えなくて・・・。


ただ、黙ってなつの話を聞いた。

タケル、タケルの想い聞いたよ。

私にとってタケルは大切な存在だよ?

いなくなったら悲しいよ・・・。


タケルは自分がそんな状況だっていうのに、何であそこまで私の為にやってくれたの?


好きだって言ってくれたよね?


あれも、本気で言ってくれてたの?






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