桃色
だからって、それが正しいことだとは思えない。


「それで、タケルは幸せなの?」

「俺はこの仕事するようになって、やっと親から認められたんだ。俺の存在が認められた。だから、こうするしかねぇんだ」

「それって、タケルらしくないじゃん!そんなに無理してまで認めてもらいたいの?」

「・・・あぁ」

「ねぇ、これ見て!!」

私はそう言って、真っ黒の髪の毛を耳にかけた。


「それ・・・」

タケルは、私の耳を見つめて言葉に詰まっていた。

「ピアス。あれから、7個にしてるの。意味分かるよね?」

「えっ・・・?」

「忘れたの?」

悲しかった・・・。


「こないだもラッキーセブンだから7個にするって言ったじゃん!!ラッキーセブンだからピアスは7個。『ラッキーなこと起こりそうじゃねぇ??』って言ってたのタケルじゃん。忘れたの・・・?」

「それって昔、俺が言ったやつ?俺もずっと、ピアス7個だった・・・」

「そうだよ!付き合ってた時、タケルが言ってくれたでしょ?」

「思い出した・・・」


高校の時、タケルと付き合ってた私。

あの時のタケルは、髪の毛も金髪で、耳にはピアスをたくさんつけていた。

ピアスは7個。

私が何でピアス7個なの?
って聞いたとき、タケルが言った言葉。

『ラッキーセブンだよ。ラッキーなこと起こりそうじゃねぇ??』


ずっと、7個だったピアスも今じゃ、穴は全部ふさがってるよね。

髪も黒くなってるし・・・。


今、ここにいるタケルには、昔の面影は全くない。




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