桃色
そのことに私、気付いてたんだ。

私ね、髪を黒くして、ピアスも全部ふさごうとした。

今のタケルのように・・・。

だけどね、ここだけは曲げたくなかった。

タケルのラッキーセブンを私が受け継いだんだよ。


「ねぇ、タケル、本当に結婚しちゃうの?」

「うん」

タケルはそう言って頷いた。

「タケルには本当に好きな人と結婚してもらいたかったな・・・」


そんなこと、私に言われたくないと思うけど。


今度は私の番だよね?

タケルが私を助けてくれたように、今度は私がタケルを助けなきゃ。

だけど、どうしたらいいのか分からない。



「なぁ、キスして・・・」

しばらく、沈黙があったと思ったら、いきなり、タケルがそんなことを言った。


私は目を閉じて考えた。

そして、こう言った。

「・・・出来ないよ」

「何でだよ?しろよ!!」

タケルは強い口調で言った。


「好きな人とじゃないと出来ない・・・」

私はタケルを見つめ、そう言った。



すると、タケルは笑って私を見た。

「よし!!合格!!!」

そう言って、私の頭をくしゃくしゃに撫でた。

「何?合格って・・・」

「もう、大丈夫だな!桃子はもう、大丈夫だ!!」

「もしかして、試したの?」

「まぁな。これで、俺も安心して結婚できる」


そう言うタケルの声は震えていた。



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