桃色
優士君が行った後、私はしばらくそのまま座り込んでいた。



「水嶋、ごめん・・・」


なつが困った顔で謝ってきた。

私は立ち上がり、


「もう!!びっくりしたんだから!!」


そう言って、なつをバシッと叩いた。



それから、何事もなかったように私達は話し始めた。


「ねぇ、そう言えば千絵って健二君と幼馴染なんだよね?」

「うん、そうだけど、どうかした?」

「仲いいの?」


私が聞くと、千絵は今は全然って答えた。


「健二が、どうかしたの?」


千絵に聞かれて私は何でもないよって答えた。


もし、千絵が健二君と仲良しなら、私は優士君と仲良くなれるかも・・・ってそう思った。


ずるい考えが頭の中いっぱいに広がる前に話題を変える。



「ヒロ君の小さい時も知ってるんだよね?」


いきなりすぎるかなと思ったけど話を変えた。


「うん、幼稚園からずっと一緒だったし・・・」

「ヒロ君かわいかった~?」

「どうだろう?」


そう言うと千絵は首を傾げていた。


「三宅のことだから、なまいきなガキだったんじゃない?」


なつがそう言って笑う。



そうかも、そうかも・・・。


私達はそう言って笑った。





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