桃色
そのタケルの顔を見た瞬間、私の中で何かが変わろうとした。


「ねぇ・・・。もしさ、本当は私、タケルのこと好きって言ったらどうする?」

どうしてこんなこと言ったのか分からない。

「はぁ?何言ってんだよ」

タケルはいつもみたいに笑ってごまかす。

「ちゃんと、答えて!」

タケルは少し考えてこう言った。

「まぁ、ぶっちゃけ、嬉しい。でも、それが同情とか俺の気持ちに応えようなんて思ってんだったらマジでぶん殴るぞ!」

その言葉を聞いて私は笑った。

「タケル、私のことぶん殴れないくせにぃ〜!!」

「何だよ、それ・・・」

タケルは呆れ返っていた。


「でも、よかった。私も、タケルのこと試してみたんだ。でも、タケルの意志強かった!!」

私がそう言うと、

「俺のこと試したのかよ〜!!」

ってタケルは怒ってた。

タケルだって私のこと試したじゃん!!


でもね、本当は、試したっていうの嘘なの。

思い返せば、いつもタケルがそばにいてくれてた・・・。


私が辛い時、いつも一番に気付いてくれた。

今の私にとって、タケルの存在はすごく大きくて・・・。


もし、タケルが望むのなら私、タケルと付き合おうってそう思ったの。

違う、もしタケルが望まなくてもそばにいたいって思ったんだ。

タケルのそばにいて、タケルと一緒に成長できたらって思ったの。

それも、一つの選択なんじゃないかって思った。


でも、タケルはそれを望まない。

それに、これ以上タケルに甘えることはやっぱり出来ない。


もう、お互いに流されることも、甘えることも出来ないんだ。


私達は、とても深い深い友情の絆で結ばれているからね。


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