桃色
目の前には、タケルがいる。

・・・嘘みたい・・・。


私はタケルの顔を見るなり、思いっきり飛びかかった。

思いっきりぶん殴りながら、

「もう!いなくならないでって言ったのに〜!!」

そう言ってわめいた。

タケルはそんな私を優しく見つめた。


「なぁ、あの海で話さねぇ?」

私は小さく頷いた。


海への移動中、私もタケルも何も話さなかった。


私達が話す場所といえば、いつもあの海だった・・・。


あの海に行けば、心が落ち着いて、自分の気持ちを素直に話せるんだ。


タケルは静かに海を眺めていた。


私はタケルを急かさないように黙って、横に座っていた。



「俺な、あれから東京に行ってたんや・・・」


タケルは静かに話し始めた。




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